Fixed Foveated Rendering (固定窩レンダリング / FFR) は、VRデバイスのハードウェア性能を最大化するための極めて重要なグラフィックス最適化技術です。人間の網膜は視野の中心部分(中心窩)しか高解像度に認識できず、周辺視野の解像度認識能力は極端に低いという特性を利用しています。

現実世界での例え:ドライバーの視野とフロントガラスの防汚洗浄

FFRの動作は、「自動車の運転手(プレイヤー)の視野と、フロントガラスの防汚洗浄範囲の節約」に例えることができます。

  • 従来(FFRなし): 運転手は運転中、常にフロントガラスの「中央の狭い安全確認エリア(中心視野)」だけを凝視し、ガラスの両端や上部の四隅(周辺視野)はほぼ見ていません。しかし、従来システムはガラス全体に付着した汚れを100%均等にピカピカに洗うために、莫大なウォッシャー液と電力(GPU負荷)を浪費し、エンジン(GPU)がオーバーヒートしかけてしまいます。
  • FFRあり: 運転手がどうせ凝視しない「ガラスの両端や上部の四隅」の洗浄レベル(解像度)を大幅に落として手抜きし、視線が集中する「中央エリア」だけにすべてのリソース(GPU処理パワー)を集中させます。これにより、運転手に一切気づかれることなく、莫大なエネルギーの節約(GPU負荷の削減)を実現します。
VR Fixed Foveated Rendering resolution zones diagram

図:視界の中心から周辺部にかけて解像度段階を変化させるFFR描画制御イメージ

FFRの仕組み

FFRを有効にすると、GPUは視界の中心エリアは要求された100%の解像度で綺麗に描き出しますが、視野の外側に向けて45度〜90度と進むにつれて、4x4ピクセルを1ピクセルとして間引くなど、解像度を段階的に低減させます。これにより、ピクセルシェーダーの処理負荷が最大で15〜30%程度削減され、空いたGPUリソースをポストエフェクトや複雑なシェーダー、物理挙動に充てることが可能になります。